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【ゲーム感想:Bug Fables〜ムシたちとえいえんの若木〜】ペーマリライクなだけじゃない!細部まで丁寧に作られた、だれでも楽しめる最高のRPG!

この記事に含まれるもの:Bug Fables〜ムシたちとえいえんの若木〜のネタバレなし感想

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ec.nintendo.com

2年前にSwitch版のUNDERTALEを初めてプレイした時は、こんなに好きになるRPGは生涯出会えないだろうと思っていたのですが、
出会っちゃいました。
「Bug Fables〜ムシたちとえいえんの若木〜」です。

Bug Fables〜ムシたちとえいえんの若木〜(以下バグフェ)は、知性あるムシたちが暮らす国バグアリアを舞台に、不老不死を授けてくれるという伝説の「えいえんの若木」を探す旅をするアクションRPG
元々Steamで配信されていて、フォロワーさんの紹介ツイートを見て作品を知り、気にはなっていたのですが、5月末頃Switch版が配信され、プレイすることができました。
特徴は何と言ってもこれ!

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すっごくぺーマリライク!!!
ぺーマリシリーズと言えば、今やジャンルがRPGで無くなってからのほうが歴史が長く、それらの作品は残念ながらnot for meで、複雑な気持ちを抱いているのですが(…)
バグフェにおけるぺーマリライクのぺーマリとは、まさしく私が愛してやまない「マリオストーリー」と「ペーパーマリオRPG」のことなんです!
そのリスペクトぶりは凄まじく、マリオでもなければそもそも制作会社も違うのですが、
バンジョーとカズーイの大冒険に対するユーカレイリーのような、スーパードンキーコングに対するユーカレイリーとインポッシブル迷宮のような…(ユーカレイリーで例えがち)
さながら精神的続編だと言っても差し支えないレベルです。
笑いあり涙ありのストーリー、コミカルでかわいらしいグラフィック、アクションを伴う戦闘システム、メダル(ぺーマリで言うバッジ)システム、捜し物をしてくれる占い師と砂漠のまじない師、料理レシピ集め、豊富なミニゲーム…と、
マリストとぺーマリRPGの中にあった楽しい要素は、全てバグフェにもあると言っても過言ではないです。
制作チームの中にマリスト・ぺーマリRPGを相当やりこんでいる人がいるのは恐らく間違いないと思います。(インタビューが見たい…)(インディーワールドで取り上げてほしい)

…………と、ここまで語ってきましたが、ぺーマリライクなRPGであることはあくまでバグフェの特徴のひとつに過ぎません。
一からよく練られた世界観と魅力的なキャラクターたち、大ボリュームのテキストから織りなされるストーリーはまさにバグフェだけのもので、
実際にプレイしていくとオリジナリティの光る作品だとわかります。
以下ポイントごとに解説していきます!バグフェは…いいぞ!!


★★★


①キャラクターがいいぞ
主人公は、野心家でちょっと守銭奴?明るく元気なミツバチの「ヴィー」、真面目で熱血、仲間思いなカブトムシの「カブ」、クールでミステリアス、皮肉屋なガの「リーフ」の3匹。
ヴィーとカブがひょんなことから探検隊のチームを組み、古代の宝を手に入れるべく訪れた「ヘビのあぎと」で、リーフと出会うことから3匹の物語が始まります。

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黄色いミツバチのヴィー、緑のカブトムシのカブ、青いガのリーフ

性格がバラバラで、初めはデコボコなチームワークを見せていた3匹が、「ヘビのあぎと隊」としていかに最高のチームになっていくかはストーリーの大切な軸のひとつ。
3匹それぞれに複雑な事情や重い過去があり、旅の道中苦楽をともにしながらそれらに向き合っていくことになります。
とにかくこの3匹(ヘビのあぎと隊)がものすごく魅力的で、本格的に旅が始まるチャプター2あたりで既に自分はあぎと隊が大好きになってました…。
3匹を魅力的に描くのに一役買っているのが圧倒的なテキスト量!
マリストやぺーマリRPGではクリオやクリスチーヌが解説してくれていたように、バグフェでは今いる場所や近くにいるムシについて3匹のおしゃべりを見ることができます。
同じ場所でもストーリーの進行具合によってセリフが変わったりするので、豊富なテキストが3匹の関係性を非常に丁寧に描いてくれます。
さらに、バトル中に敵を観察したときのコメントも3匹分用意されていて、しかも1匹で1回観察すれば生物図鑑に自動的に3匹分のコメントが記録される親切設計。
同じ敵相手でも、ヴィーのコメントが「コイツ固くてムカつくー!」なのに対してカブは「オレが攻撃のスキを作るぞ!」、リーフは「とりあえずぼくらが全部凍らせればいいかな?」だったりと三者三様で面白いんです。

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実はカワイイもの好きなリーフのコメント。可愛らしい生き物を見る時はこんな感じ

主人公3匹以外のムシたちも皆個性的で、ほぼすべてのキャラが実在する虫をモデルにしてデザインされています。何の種類のムシかはわかるけれど可愛らしく、絶妙なラインのディフォルメで、リアルな虫は苦手だけどフィクションのムシは好きな私得…!
設定についてもカマのあるカマキリは剣士やシェフといった刃物を扱う職業についていたり、ミツバチは全員女王のこどもでほとんどが女性だったりと、現実の虫の生態に即しているのも凝っていて好きです。
NPCにも非常に魅力的なムシが勢揃いしていて、
ロイヤルブレードの称号を持つ凄腕の剣士・カマキリのマキや、
アイドル探検家のモシーバとパートナーのクールなスズメバチ・ザスプや、
バグアリアから遠く離れた国からやってきた可愛すぎる謎のムシ・タンジェリン等々…

また、アリの王国の兵士やトンネルの作業員等一部のムシを除き、
モブ程度の出番しかないムシでもほとんどが皆それぞれ固有のグラフィックを持ち、印象に残る個性を持っています。

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サブクエストで一度だけ出番のあるマルハナバチNPC。カワイイ


②世界観とストーリーがいいぞ
「えいえんの若木」を探す手がかりとなる古代の宝を、アリの王国の女王の命で各地に探しに行く…という、一見、RPGではありがちなあらすじなのですが、
実は単純なファンタジーに収まらない、ポリティカルな一面もあります。
というのも、冒険の舞台であるバグアリアと周辺国の建国の歴史や、各地の特産・経済・信仰・国同士の外交関係等は非常に細かく設定されていて、
農業地帯の伝統のお祭りに参加したり、同盟国へ使者として赴いたり、敵国へ潜入したり…とよく練られた設定のもと、冒険の様相も変化していくんです。
その中でチームとして絆を深めていく3匹の様子が丁寧に描かれていて、特にそれぞれの過去や出自に関わるストーリーは非常に胸を打つものばかりです。

上記の歴史や特産といった設定は、ストーリーに直接関わらないような部分まで、旅の記録として自動的に記録されていく「みつけたもの」リストや、図書館で読むことができる歴史書で細かく記述されていて、ここでも豊富なテキストが世界観を描写するのに一役買っています。
これらの設定のおかげで、各地を訪れるたびに、そこで暮らすムシたちがただのNPCではなく一匹一匹が生活している風景を思い描くことができ、よりこの世界を愛おしく感じます…!
とは言え、作中のすべてのテキストを読んでも0から100まで解説しきってしまうのではなく、プレイヤーに考察の余地を残すあえて謎に包まれた部分もあり、
そういった部分に思いを馳せるのもとても楽しいです。

冒険のロケーションも緑豊かな草原から、砂漠、危険な沼地、機械化が進んだ巨大都市まで実に様々。
バグフェの世界を回り終えるころには、バグアリアまるごと好きになっていること間違いなしです!


③バトルがいいぞ
バトルとメダル(ぺーマリで言うバッジ)システムは恐らく最もぺーマリを踏襲している部分なのですが、同時にバグフェならではの特徴と上手く合わさった戦略的なものになっています。

まず、ぺーマリとの共通点としては
シンボルエンカウントで、フィールド上で先制攻撃可能(攻撃されることも)
・スキルの発動に必要なTP(ぺーマリで言うFP)はチームで共有
・攻撃時、特定のコマンド入力を成功することで技の威力アップ
・防御時、タイミングよくボタンを押すことでダメージ軽減
・「かんさつ」することでHPが見られるようになる(バグフェではチーム全員使用可能)
・経験値100〜獲得でレベルが上がり、HP、TP(FP)、MP(BP)のどれかを選んでパワーアップ
等があります。レベルアップの演出等も含めて特にぺーマリオマージュを感じる部分です。

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音楽も含めてすごくそれっぼい

主な異なる点としては、ぺーマリではマリオがジャンプもハンマーも全体攻撃も使うことができ、仲間たちはどちらかと言えばマリオをサポート、という形でしたが、
バグフェではそれぞれに特技があり、ぺーマリではバッジをつけるか特定の仲間しか使えなかった技を「さくせん」タブに落とし込んだ上で、マリオと仲間を足して割ったような性能の3匹で戦う、という印象です。
これだけでこんなにぺーマリとは違う戦略が必要になるのか!と最初はびっくりしました。

3匹にはそれぞれ、
ヴィー…飛び道具(ビーメラン)を使って空中の敵を地上に落とせる。強力な多段ヒット攻撃と回復技が使える。
カブ…地上の最前列にいる敵しか攻撃できないが、防御力を貫通できる。一部の敵をひっくり返せる。倒れた仲間を復活させることができる。
リーフ…地上の敵しか攻撃できないが、地中に埋まった敵を引っ張り出せる。氷の魔法で敵を凍らせられる。各種バフ・デバフの魔法が使える。
という特技があり、さらに、
・隊列の1番前にいる仲間は攻撃力が上がるが、敵の攻撃を受けやすくなる
・行動する順番を自由に変えられる
・仲間に「ターンをゆずる」ことができる
・2回以上行動すると疲れから攻撃力が下がっていく
というルールを元に、敵と戦っていくことになります。この単調過ぎず、難解すぎない絶妙なバランスのバトルがとても楽しいんです!

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メダルの強い組み合わせを考えるのも楽しい

また、最初期にもらえる「ハードモード」というメダルをつけると、敵を強くすることができ、自由に着脱して自分で難易度を選ぶことも出来ます。
ハードモードのボスを倒すのは大変な分達成感もひとしおなので、RPGに慣れた人だったら是非ボス戦だけでもハードモードで挑んでもらいたいです!


④収集要素がいいぞ
前述した「みつけたもの」や生き物図鑑、他にもバッジと交換できるクリスタルベリー等、全部集めたくなる収集要素が色々!
私のぺーマリで1番好きだった要素がキャシーさんとナンシーさんの料理だったのですが、バグフェにも料理システムがあります!
しかも、シェフに材料を1つか2つ渡すというところも一緒。ハニーキノコとかもあります(私は嬉しいけど大丈夫なんだろうか…w)

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回復効果もぺーマリとほぼ同じ!w

ページが埋まっていくのが楽しくて、これらの要素と実績も全部制覇するところまで全力で駆け抜けてしまいました。


⑤親切設計がいいぞ
面白いゲームの条件は、苦労に見合う対価=達成感が得られることだと思っています。
例えば強い敵を倒したら新しいスキルを習得できるとか、ダンジョンの最深部にはレアなアイテムがあるとか…。
簡単すぎても達成感がなく、難しすぎても達成感より疲労感が勝ってしまいます。
そういった観点から見て、バグフェは完璧です!!

まず、セーブポイントと回復スポットの配置が絶妙で、「そろそろ回復したいなー」と思うタイミングで出会えることが多いです。
また、ボスが出現する場所の直前でもほぼ必ずセーブ&回復できるようになっています。
理不尽な初見殺しがありません。

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引き返せなくなる場面では、こんな感じの自然なワンクッションが

ダンジョンの中での謎解きも、初めに簡単な仕掛けがあり、その後で応用編という順序になっているので自力で解く楽しさを自然に味わえる他、
一度通った道は必ずと言っていいほどショートカットが出来るように設計されています。
この、「一度通った道は必ずショートカットができる」というところがダンジョン外でも徹底されていて、一度訪れた主要な街は全て「アリ鉱山」でつながり、ワープできるようになります(初回のトンネル開通作業以降、利用にお金なども必要ナシ)。

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各地へいつでも自由にワープさせてくれる

アリ鉱山以外にも、アリ鉱山⇔アリの王国中央広場、砂漠の入り口⇔砂漠の街シブトイーネといった、細かな区間もワープさせてくれます。
おかげで、各地を飛び回ることになるサブクエストも面倒にならず楽しく取り組むことができます。
また、育成面・各種アイテムの収集面においても取り返しのつかない要素というのがなく、前述の通りバトルの難易度も自由に変えられるので、ゲーム初心者から上級者まで、老若男女が楽しめるように設計されていると感じます。
プレイヤーがストレスを感じず、最大限快適にプレイしつつも、達成感も得られる素晴らしいバランスなんです!


⑥BGMがいいぞ
様々なロケーションを探検する本作にあって、場面にあった名曲ばかりです。
伝統的なお祭りのシーンではケルト音楽風、機械化されたハチミツ工場でのボス戦は激しいギターリフが爽快な一曲…とバリエーション豊か。

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ゲーム内で自由に音楽が聴けるのも嬉しい

各チャプターのボスはそれぞれ専用曲があり、物語の盛り上がりを演出してくれます。
また、詳しくはネタバレになるので書けませんが、「ここでこのフレーズか〜」というような音楽による演出も素敵です。
サントラはこちら→
tristanalric.bandcamp.com

私はこのサントラを買うためだけにPayPalに登録して、投げ銭して買いましたw


⑦翻訳がいいぞ
最後にこれかなり重要な長所だと思うのですが…日本語が母語のクリエイターが作ったのかというほど翻訳のレベルが相当高いです。
豊富なテキストを読むのが楽しい本作において、非常にありがたい点ですし、翻訳チームにも拍手を贈りたいです。


★★★
バグフェ本当に最高なので全世界5000兆DLされてほし〜〜!!!って気持ちでいろんなところで布教しています。w
Bug Fables~ムシたちとえいえんの若木~をよろしくお願いします!!!!!!