鰓過呼吸

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【ゲーム感想:Ori and the Will of the Wisps】傑作の続編はやはり傑作だった

この記事に含まれるもの:Ori and the Will of the Wispsのネタバレなし感想
前置きが長いです。

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Ori and the Will of the Wispsは、以前の記事(https://duffmofu.hatenablog.com/entry/2019/11/09/152137)でも紹介した傑作メトロイドヴァニア、オリとくらやみの森の続編です。
邦題は「オリとウィスプの意志」のようですね。

Switch版の「くらやみの森」をプレイ後、「ウィスプの意志」が割とすぐに発売していたことは知っていて、
ジャケットでオリと共に描かれている鳥の子が、直感で前作の敵役であったクロの子どもだ!とわかるデザインだったのを見て、
「今度はオリが誰かを守る番なんだ…しかもクロの子を…!!;;;」ともうそれだけで泣くレベルで猛烈にプレイしたかったのですが、対応機種がXboxOneかPC(Windows)のみで。
うちにある箱○はACアダプターが鈍器のような360だけだし、PCも10年以上使ってるご老体だし…と悶々。
どうも関係者さんがエゴサしている?ような感じがあったのでSwitch版も発売して欲しい旨ツイートしたり、
発売元のMicrosoft社へのオリに関するインタビューを一生懸命英語翻訳して読んだりしてたのですが、発売の予定はない…とのことで。
カップヘッドやオリの1作目については、「Switchユーザーの皆さん、ぜひMicrosoft社製品もよろしくね」という宣伝も兼ねているというのを何かの記事で読んだので、
もう宣伝期間は終わっちゃってるならSwitch版の発売は絶望的かなと半ば諦めていました。

アンテの楽曲目当てにSteamで購入したグルコスがうちのPCだとカックカクになってしまったこともあって、
せっかくソフトを買ってもまともにプレイ出来ないのでは意味がないので、
冬のボーナスが出たらPC買い替えて、「ウィスプの意志」はそれからかなあ…等と考えていた矢先の出来事でした。

youtu.be

その時わたみんに衝撃走る。
まさかのこのダイレクト終了後から配信開始!!!
任天堂Microsoft、仲良しか!?!?ありがとうありがとうありがとう!!!
本当は18日配信開始のマリコレでサンシャインを始める予定だったのですが、もう一旦後回しにしてすぐ!オリを始めました。

先日(ほぼ)100%クリア達成したので、感想を書いていきます!


★★★

Ori and the Will of the Wispsは、精霊の子オリを操作して美しい自然広がるフィールドを探索し、冒険するメトロイドヴァニアです。

物語は前作のエンディング後からスタートしています。
ニブルの森を救ったオリは、育ての親ナル、前作の旅の道中で出会い友だちになったグモ、そして前作では敵役であった怪鳥クロの子ども・クゥと共に幸せに暮らしていました。

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左からグモ、ナル、クゥ、そしてオリ

クゥは鳥でありながら空を飛べない子でしたが、オリたちと共に飛行の練習を重ね、ある時ついに飛ぶことに成功します。
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クゥの背中に乗り冒険に出かけたオリでしたが、大嵐に見舞われクゥと離れ離れになってしまいます。
落ちた先はニブルの森から遠く離れた、「滅び」に脅かされる二ウェンという土地でした。
クゥを探し出すため、オリの冒険が再び始まる…というストーリーです。

もうこのプロローグだけでまた100万回泣いた人間になってしまう…。
映像美しすぎるし、セリフがなくてもストーリーが伝わってくる演出も素晴らしいし、何よりオリたちが幸せそうに暮らしてるだけでめちゃくちゃ泣く…。

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ここでもう泣いた(開始数分)

クゥが初めて空を飛ぶシーンの曲「Ku's first flight」も名曲すぎます…。
いや、仮に前作のストーリーを知らなくても、プロローグ中にオリが入手する「クロの羽根」が「クロ」って誰?となる程度で、今作から始めても全然問題ないんですよ。
ただ、やはりキャラクターへの思い入れが相当変わってくるので、前作をプレイ済みのほうがストーリーを120%楽しめると思います。

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前作をプレイしていれば、ハッとなる演出です

★★★

さて、そんなこんなで二ウェンという新たな土地で探索を始めることになるわけですが、今作は前作から新たに加わった要素と、反対に無くなった要素が色々とあります。
それによって、ただ前作からマップを焼き直しただけ、というわけではなく、新たな体験価値を付与することに成功しています。

具体敵に、新たに加わった要素としては、
①「精霊の刃」を始めとする近接戦闘用のスキル
②様々な効果を発揮する装備品「精霊のかけら」
③冒険の拠点にもなる集落「湧き水の森の空き地」
④豊富なNPCとサブクエス
⑤世界中のプレイヤーとタイムを競える「精霊レース」
⑥大型ボスとの直接対決
⑦3Dグラフィックの起用
などがあります。

そして無くなった要素については、
エナジーを消費してチェックポイントを作る「ソウルリンク」システム
②経験値を消費して各種スキルを解放する「能力ツリー」システム
マップストーンによって解放される地図システム
などがあります。

こうやって並べてみると、かなり色々と変わった感じがします。
しかしながら、美麗なアニメーションとシーンにマッチした音楽、爽快な操作感、少しずつ行けるところが増えていくワクワク感等、前作で確立した「オリらしさ」は決して損なうことなくバランス良くまとめられていて、続編としても新作としても素晴らしい仕上がりになっています。
オリといえば…な強制スクロールエリアももちろん健在です!


以下は主に今回の変更点についてです。



・近接戦闘用のスキルの追加
・大型ボスとの直接対決の追加
・ソウルリンクシステムの廃止

前作では精霊セインによるホーミング弾が主要な攻撃方法でしたが、今作ではオリ自らがアクティブに戦うためのアクションが豊富にあり、戦闘がとても楽しいです!
前作同様各地に点在する精霊樹から覚えるアクションの他、NPC「オファー」から、前作の経験値(能力セル)にあたる「精霊の光」を通貨として、新たな技を伝授してもらうこともできます。
一番初めに習得することになる「精霊の刃」は、発動するのに割り振ったボタンを連続で押しているだけでコンボ攻撃を繰り出してくれる優れもので、派手でカッコいいアクションが非常に爽快です。

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初期装備とは思えないカッコよさの「精霊の刃」

そして、前作でも魅力的だった、エリアそのものがボスとも言える、ひたすら逃げ続ける強制スクロールのシーンに加え、大型ボスと直接戦う場面もあります。
どれも一筋縄ではいかない強力な相手で、形態の変化も複数あり、細部まで作り込まれています。
オリの攻撃のエフェクトがとても綺麗なこともあり、さながらイベントシーンを自分で動かしているような迫力で、ボス戦はどれも非常に熱かったです。
関連して、今作では無くなった要素の1つにエナジーを消費してチェックポイントを作る「ソウルリンク」システムがあります。
ソウルリンクは前作の大きな特徴でもあったので、今作では無くなっていることに驚きました。
ソウルリンクシステムの代わりにこまめなオートセーブがされるようになり、チェックポイントの置き忘れによる悲しい事故は無くなりました。
ボス戦でさえも途中からリトライさせてくれる親切さです。
加えて、エナジーは各種スキルを使うのに使い切れるので、エナジー管理に前作ほど気を遣わなくて良くなりました。
ただし、能動的なセーブはワープポイントでもある精霊の泉でしかできないため、「あれ!?ここから!?」はたまーに起こります。w
しかし、ソウルリンクは元々敵のそばには設置することができなかったので、戦闘の比重が高くなっている今作においてはオートセーブの方がマッチしているように感じます。

ちなみに今作、時々エラーで強制終了になることがあります…。
また、オリの動きにカメラが付いてこれず、画面外に大きく出てしまい、見えないまま死んでしまうなんて時も。
それでも、こまめなオートセーブのおかげでかろうじて致命的な欠陥には至っていません。
これらはSwitch版に限った問題なのかはわからないのですが、作品の内容が素晴らしいだけに非常にもったいないなと思う点です。



・「精霊のかけら」の追加
・「湧き水の森の空き地」とNPC・サブクエストの追加
・「能力ツリー」システムの廃止
・地図周りのシステムの変更

前作では、各種スキルや能力は経験値(能力セル)を消費して習得するのみでしたが、今回は前述のオファーのようにNPCと取引して手に入れるものの他、「精霊のかけら」を装備して得られるものもあります。
「精霊のかけら」は、ホロナイでいうチャームのような装備品で、壁に張り付いて移動できるようになる「粘着」等特定のアクションを可能にするものや、エナジーや体力を増やす永続的な効果をもたらすものまで数多くあります。

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ザコラッシュの「殿堂」をクリアすれば装備可能な数を増やすことができます

前作の能力ツリーシステムは、何を優先して強化するかということを考えながら進め、ゲームの終盤になるころには最終的に全ての能力を取得することができるタイプのものでしたが、
精霊のかけらは場面に応じて付け替えるもので、有効な組み合わせを考えるのがとても楽しかったです。
ほとんどはフィールド上のどこかに隠されていますが、何種類かはNPC「トゥウィレン」から購入し、効果を増強することもできます。
また、マップストーンを見つけて地図を解放するシステムだったのが、NPCから購入するシステムに変わりました。その辺もホロナイっぽい…!

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地図書きのNPC「ルポ」

何度か触れてきたNPCについてですが、旅の相棒の精霊セイン以外ほとんどキャラクターのセリフがなかった前作に比べ、今作はフィールドのいたるところに友好的なNPCがいて、会話したり、頼み事=サブクエストを受注したりできます。
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一度出会ったNPCの場所とサブクエストの情報はマップに記録されいつでも見直せるので、広大なフィールドでも見失うことはありません。
お遣い的なクエストやわらしべイベントが大好きなので、各地を巡る目的も増して、さらに探索が楽しくなる追加要素でした!
加えてさらに楽しかったのが、冒険の拠点にもなる集落、「湧き水の森の空き地」復興イベントです!
トゲの草木が生え荒れ放題だった空き地に、各地に隠された鉱石を持ってきて、家を建てたり泉を修理していくイベントなのですが、オリの頑張りが少しずつ目に見える形で積み重なっていく達成感がたまらなく心地よく、非常に良いイベントでした。
ブレワイのイチカラ村イベントとか好きな人は絶対好きなやつです(笑)

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大工のゴーレクと共に空き地を発展させていきます

復興イベントのみならず、メインクエストを進めた結果、水が浄化される等の二ウェンの自然が良い方向へ向かうと、空き地にいるNPCたちは都度オリの活躍に感謝してくれるので、物語への没入度が増します。

前述したNPCのオファーやトゥウィレン、ルポは普段この地に常駐していて、冒険の手助けをしてくれます。
技の指南や精霊のかけらは、各地に隠された精霊の光を全て集めてちょうど全部買い終えられるくらいの値段設定なので、初めは高っ!と思うかもしれませんが、その分探索のモチベーションが上がりました。
穏やかな光の差し込む森というロケーションに加えBGMも非常に癒やされる曲なので、特に用事がなくてもつい時間を過ごしたくなってしまうような、素敵なエリアです。
特に今作では途中からどこにいてもワープポイントへのワープが可能になっているので、一旦帰ってくる場所、があるのは安心できるなあと思います。


・精霊レースの追加
精霊レースとは、フィールド上に設置された精霊レーススタート地点からゴール地点までの特定の区間をいかに早く走破できるか、というミニゲームです。
制限時間内にクリアすれば景品として精霊の光がもらえますが、クリアには必須ではない、ミニゲーム要素です。
インターネットに接続すれば世界中のプレイヤーの記録を見ることができ、トッププレイヤーのゴーストと競争することもできます。
何度も繰り返しプレイして最適な道順と取るべきアクションを覚えていかないと、デフォルトの制限時間内におさまるのも結構大変な覚えゲーなのですが、
トッププレイヤーのゴーストを見るとそこからさらに10秒以上縮めていて驚かされます。


コースにもよりますが、うまく走れば一区間30秒におさまるので、Switchの動画撮影機能との相性もいい感じです。

オリといえばひたすら逃げ続ける強制スクロールエリアですが、あれも「ここを登ったらその先の足場が崩れるから避けて…」等、それもトライアンドエラーを繰り返す一種の覚えゲーです。
迫り来る大迫力の自然だったり、巨大ボスが敵だったりするところに圧倒的な映像美が合わさり、いわばオリらしさの中でも静と動の「動」な場面となっています。
翻って、精霊レースは戦う相手が自分自身か物言わぬゴーストなので、静と動の「静」にあたるものです。
ひとくちにミニゲームと言っても、オリのアクションの魅力を上手く活かした面白い要素だと思います。

とか書きつつ、実は私これが苦手でまだクリアできていないレースがあったりします…それ以外の要素は100%にしたのですが(-_-;)
とはいえこれハマる人はものすごくハマりそうな予感がします。
YouTubeとか検索したら凄まじい記録が出てきそう…。

★★★

その他、書ききれなかったことについてです。

音楽について、今作も本当に素晴らしいです。前述した「Ku's First Flight」のほか、
序盤に冒険することになる「インクウォーター沼地」のBGM「A Shine Upon Inkwater Marsh」などイベントシーン以外の曲もじっくり聴いていたくなる曲が揃っています。


また、翻訳について前作より改善されているように思いました。
前作も決して悪いわけではなかったのですが、直訳っぽい表現が結構あったのが少なくなり、
キャラクターごとの口調も性格をよく現していて好印象でした。
また、フォントデザインも良くなったと思います。

★★★
 
1作目が面白いと、2作目にもそれ以上のものを期待してしまうのですが、全てにおいて期待を遥かに上回る素晴らしい作品でした!
Switchでも遊べるようにしてくれたことに感謝しかない…。

前作ももちろんプレイしてほしいですが、今作からでもアクションが好き、探索が好きな人なら絶対に楽しめる作品だと思うので是非遊んでほしいです。
ストーリーを楽しみたい人向けにイージーモードもあります。


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もっとオリたちの物語を見ていたいので、今後3作目が出ることを期待せずにいられません…!
その頃までにはサクサクゲームが遊べるくらいのスペックのパソコンを買っておきたい…。