鰓過呼吸

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【ゲーム感想・紹介:OMORI】ホワイトスペースへようこそ。

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OMORIのSwitch版を先日クリアしました。本作は元々Steamで配信されたインディーズタイトルで、日本でも日本語版が無い頃から熱狂的な支持を受けていたことは何となく知っており、気になるタイトルの一つでした。そして今回、コンソール版が出たことで遊ぶことが出来ました。

本当に、本当に素晴らしい作品でした…。ネタバレを踏まずに自分でプレイ出来たことが宝物になる作品だと思います。エンディングを見届けた今、登場人物たちへの色々な感情が入り乱れて、心がぐちゃぐちゃに痛いです。でも、その痛みごと愛しくなってしまうような不思議な魅力のある作品です。

既にたくさんの方から高い評価を受けている作品ではありますが、コンソール版の発売を機にプレイするか検討している人がTLに多いような印象なので、前半はストーリーのネタバレのない感想や紹介を、後半は極力ネタバレを抑えつつ私が初回プレイ時に教えておいて欲しかったと思ったことを紹介します。

既にOMORIを購入済みで自分の心のままにプレイしたいという方はこんなブログ今すぐ閉じてOMORIを何周でもプレイしてください。そして私と感想語り合ってください…。お願い…。というかネタバレ部分を人と話したくてたまらなくてこの記事書いてるまである…。

 

OMORIってどんなゲーム?

OMORIのジャンルはRPGです。ホラーRPGとも、引きこもりRPGとも、青春RPGとも言われていますが、そのどれもがOMORIを構成する要素の一つというだけで、実際にプレイするとオーソドックスではあるものの、RPGの面白さの王道を押さえている作品だと感じました。

 

①ストーリー導入部分

ゲームを始めると、主人公のオモリは「ホワイトスペース」という空間に引きこもっている、というテキストが表示されます。ここにあるのは、パソコン、スケッチブック、悲しみをぬぐうためのティッシュ、ネコのニャーゴ、そして果てしない高さから吊られている黒い電球だけ。オモリはここから、白いドアを開けてお友達のいる「オトナリスペース」へでかけます。

オモリが引きこもっている「ホワイトスペース」

お友達との楽しいピクニック

オモリはオトナリスペースにいたお友達のケル、オーブリー、ヒロと共に森の遊び場へ行き、もう一人のお友達のバジル、そして姉のマリと共にピクニックをしたり、森の仲間たちとかくれんぼをしたりして楽しみます。その後、園芸が趣味のバジルが新しい植物を育てているから家まで見に来ないかと一行を誘いますが、みんなで彼の自宅へ遊びに行った後、バジルは行方不明になってしまいます。彼を探すため、オモリとお友達は旅立ちます。

ホラーRPGと言われている割に導入は非常にほのぼのしています。というか、OMORIの世界観やストーリーはこの調子なことがほとんどで、キャラクターも愛らしいのでホラーを期待してプレイし始めるとちょっと面食らうと思います。OMORIのホラーたる所以は別のところにあります。(ネタバレしない程度の内容を記事の後半で書きます)

ストーリーをただクリアするだけなら20時間〜程度で済みますが、すみずみまで世界を探索したり、サブクエストを楽しんだりすれば50時間以上はゆうにかかるボリュームです。実績まで極めたら100時間はかかると思います。(私は既に60時間近くプレイしていますが、実績関係は7割程度しか埋まっていません)

 

②戦闘

戦闘はシンボルエンカウントで、シンプルなコマンド選択式です。MPにあたるものの名称が「ジュース」だったり、戦闘不能になると「トースト」になる等の変わった要素はありますが、基本はこれ以上説明することがないくらい、みんなが慣れ親しんだシステムになっています。

ザコ敵として遭遇する遭遇する「うさちゃん」と「苗モグラ」。かわいい

OMORIの戦闘で独自のシステムとしては、「感情」システムと「畳みかけ」があります。

「感情」はステータス異常×バフ・デバフ×3すくみを組み合わせたシステムです。敵味方、どちらも感情状態になることができます。

それぞれ「にこにこ」状態ならクリティカル率が上がるが命中が下がる、「しょんぼり」状態は防御が上がるが素早さが下がる…等の効果があり、「にこにこ」状態のキャラクターは「いらいら」状態の相手に強く、「いらいら」は「しょんぼり」に強く、「しょんぼり」は「にこにこ」に強い…という関係性があります。

これがかなり面白く、特にボス戦では感情を駆使した戦いはほぼマストです。こちらの感情状態を変化させてくる敵も数多くいるので、有利な感情状態で戦えるようアイテムやスキルを駆使していくことになります。

 

「畳みかけ」は上画像の「たたかう」の上にあるやる気ゲージを消費して行う連携システムです。やる気はダメージを受けることで溜まり、最大値の10まで貯めると必殺技を繰り出せるほか、やる気を3消費してお友達2人での連携を行うことも出来ます。(オモリのみ、一人での行動になります。必殺技を繰り出せるのもオモリのみ)

連携は一人一人違った内容になっていて、オモリに好意を抱いているオーブリー(画面左上、にこにこ状態の女の子)はオモリとの連携を選択すると「オモリを見たが視線に気づいてくれなかった、敵に八つ当たりで大ダメージの攻撃を繰り出す」といった行動をします。戦闘に役立つ内容ばかりですし、全員分見てみるのも面白いです。

 

③グラフィック

パーティーのリーダー変更時のスチル

フィールド上では緻密に作り込まれたドット絵、戦闘中と途中挿入されるムービーは色鉛筆で描いたような手描き風アニメーションで展開します。時々見ることのできるこういったスチルのいずれも非常にクオリティが高く、世界観の構築にも一役かっています。

英語版のみですがアートブックも発売されているほど、アート面が目に楽しい作品になっています。アートブックほしい。

 

④その他(他作品からの影響・日本語訳・音楽等について)

OMORIはMOTHERやゆめにっき他日本のゲーム作品からも影響を受けた作品です。また、OMORIの作者OMOCATさんはUNDERTALEの作者トビー・フォックスさんとも親交があります。

プレイしていても、ドット絵の世界、一人一人生きているかのような個性豊かなNPC、どんな意味があるのかわからないものの陳列具合、パーティーメンバーは戦闘特化の女の子とヒーラータイプの男の子…と「お?」と思う部分は確かにあります。MOTHER、UNDERTALE等が好きな人はOMORIの世界観もきっと好きになると思います。

とは言え、実際にプレイするとこれらの作品に似ているという風にはあまり感じないと思うはずです。それよりは、ポジティブな影響を受けていること、リスペクトしていることを察せられる程度で、OMORIには独自の良さがあります。

これはポケモン赤緑のヤツ…

 

日本語訳については、非常によく出来ていると感じました。ストーリーを追うだけでなくサブクエストも含め隅々まで遊んでいますが、翻訳のし忘れが2か所ほどあった程度で誤字などもありませんでした。

登場人物の口調もそのキャラクター性にあっていますし、英語版を遊んでいた方からすると気になるところもあるかもしれませんが、初見でプレイする分には違和感を覚えることは全くないと思います。

フォントへのこだわりも良ポイント

 

音楽も非常〜〜〜〜に良かったです。良かったのですが、タイトルだけでネタバレになるものもあるので、どうかどんな曲があるのかな?と検索はしないでください…

私はマリのテーマと言える「By Your Side.」が特に大好きです…(これは最序盤で聴けます)

 

以上がOMORIそのものの感想、紹介です。以下は、私が初回プレイ時に教えておいて欲しかったと思ったことを解説します。

なるべくネタバレのないように心がけますが、上記の紹介よりは多少内容に踏み込んだ話になります。何度も言いますが既にOMORIを購入済みで自分の心のままにプレイしたいという方はこんなブログ今すぐ閉じてOMORIを何周でもプレイしてください。そしてこれは私のネタバレ全開感想です… https://privatter.net/p/9072451 (クリアした人しかわからないパスワードつきです)

 

プレイ前に教えて欲しかったこと

以下は私がプレイ前に教えて欲しいけどネタバレが怖くて調べられなかったことです。

スクショは載せず、極力ネタバレのないように、でも快適なプレイの助けになるようにまとめていきます。

①ホラー、精神的恐怖、死・うつ病の描写ってどのくらい怖い?

未プレイの方は特に内容を検索しない方がいい部分です。詳しく説明すると確実に核心ネタバレに触れるので、抽象的な、かつ個人的な主観での説明になります。

クリアした時の率直な感想は、「ホラー要素があることは確かだけど、この作品をホラーゲームは苦手だからという理由でやらないのは勿体無さすぎる」でした。

OMORIのホラー要素は「血ぬれの手がいきなり画面いっぱいに飛び出してくる」「血飛沫飛び交うスプラッタ」等ではなく、「夜道に何かがいるような気がして怖い」というタイプのものがほとんど。一瞬の怖い!よりは所々不穏な空気が漂って、じわじわ心を包囲される感じです。この描写とストーリーとの絡み合いが非常に秀逸なので、ぜひ味わってほしいところではあります。終盤はかなりホラー色の強いところを探索することになりますが、急ではないので心構えはさせてくれます。

個人的にはUNDERTALEのオメガフラウィーや真実のラボ、MOTHER2の最低国、MOTHER3の没データ集等の方が断然怖かったです。

(ホラーゲーム自体はほとんどやったことがなくて、唯一やったのは夜廻と深夜廻くらい。ホラーは苦手だと思い込んでいたのですが、夜廻は全く怖いと思わなかったので実はホラーらしいホラーには耐性があるのかもしれません。)

いわゆるジャンプスケアについては、ないわけではない、です。ニコニコ大百科でなるべくネタバレのないように該当箇所を紹介してくれているので、どうしても不安な人は読んでおいてもいいかもしれません。

OMORIとは (オモリとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 

また、死・うつ病の描写についてですがホラーよりもこちらの方が注意が必要だと思います。

OMORIはキャラクターへの感情移入のさせ方、ストーリーの運び方が本当に秀逸な作品です。特にパーティーメンバーであるケル、オーブリー、ヒロのことを、終盤まで進む頃には本当の友達のように大切に思ってしまうと思います。

そして、ここで描かれる死やうつ病の描写は、生きるとは何か死とは何かという机上の哲学ではなく、既に大切な友達のように思っている彼らや、ずっと冒険を見守ってきた主人公の人生と地続きのもの。ゲームの世界の話とは言え、とても他人事とは思えないのです。

彼らを大切に思ってしまうからこそ、これらの描写はダイレクトにプレイヤーの心をかき乱します。今何か身近に死という現象を感じるようなことがあったり、心をかき乱されることで精神が不安定になってしまう人にはプレイを勧められないと言われているのはそういった要素からです。

私自身も軽度のもの(服薬すれば問題なく日常生活が送れる程度)を患っていますが、ポジティブな感情ばかりでないストーリーや、創作物に心をぐちゃぐちゃにされる経験で逆に元気になれるタイプ(?)なので、OMORIをプレイしてからはむしろこの心の痛みごとこの作品を愛したい、という前向きな気持ちになっています。

悲しいだけではなくきちんと愛のある作品ですので、大丈夫そうだな、と思えたらぜひ遊んでほしいタイトルではあります。でもどうか無理はしないでくださいね。

 

②ルート分岐するって聞いたんだけど

します。それも、かなり早い段階でします。私はセーブファイルを取っておくタイミングを間違えて、偏屈ゆえに1周目でやるべきルートも見誤って、共通部分を丸々2周することになりました。

2周しても色々な気づきがあり、共通部分の中にも細かな違いがあったりして面白いですが、ストーリーをより理解しやすくなるのは私が2周目に行ったルートだったので、特にこだわりがなければ1周目はそちらに行ったほうがいいと思います。

なるべくネタバレのない言葉選びをしたつもりですが、閲覧には十分お気をつけください。

 

まず、ルート分岐はプロローグが終わり「あと3日…」になった時、主人公の自宅のドアをノックするケルに応えて扉を開けるか否かで決まります。

そして、1周目は扉を開けるを選ぶことをおすすめします。これで1周目にプレイすることをおすすめするルートに進めます。

その後、翌日も引き続きケルが扉をノックして主人公を呼ぶので、これを選択する前のセーブデータをとっておきます。

1周目には翌日も扉を開ける選択をしたデータを進め、1周目をクリアした後で選択する前のデータを使い、何もしない(扉を開けない)→ベッドで眠るを選択すれば、そこからもう一つのルートに入ることが出来ます。

また、終盤の行動でエンディングが変化するので、セーブデータを上書きしてしまうと取り返しのつかないことになりかねません。

終盤セーブデータを分けるべきタイミングはバジルの家に泊まった主人公が夜中に目を覚ました時です。ここで二度寝するを選択した場合、二度寝する前のデータを上書きしないように注意してください。

 

③これだけはやっとけってことはある?

植物が好きなバジルくんの家に続く道には、彼が心を込めてお世話している花があります。バジルくんが行方不明の今、放っておくと枯れてしまうので、どんなに冒険に熱中していても「一つのエリアをクリアしたな」と思ったタイミングで忘れずに水やりをしてあげてください。これは本当にやっておいて損はないです。関係ないけど私がOMORIで一番好きなキャラはバジルくんです。愛おしい。バジルくんをすこれ

 

④コンソール版って何か追加要素あるの?

あります。特にバジルくん関係で"""デカ"""いのがあります。

 

 

以上です。この記事がお役に立てれば幸いです。

あなたとOMORIに良いご縁がありますように。